情報教育現場における諸問題

-実際に生じた問題例と対応・対策-

 

 

東京学芸大学教育学部附属高等学校 鈴木仁也

川角 博

Abstract:過去3年間の必修情報授業実施の間に生じた諸問題には,生徒の勝手なネットワーク配線,海外からの侵入者によるSPAMのリレー,オンラインディベートでの中傷,著作権違反による苦情、チェーンメール,ウィルスの蔓延などがあった。インターネットのフィルタリング、端末のプロテクト、ネットワークのアクセス制限など様々な検討課題に対応しながら、「してはいけないことをできなくする」から「できるけれどもしない心と行動力を育てる」ことこそが,学校教育において重要方向性であるとの結論に達した。

 

1.はじめに

 本校では,全生徒にアカウントを与え、様々な教科での学習活動、特別活動にコンピュータネットワークが盛んに利用されている。ここでは、本校で実際に起こった情報教育現場での諸問題を中心に,その概要・問題点・対策を報告する。

 

2.諸問題の例

2.1 コンピュータ・ネットワーク関連

(1)        不正配線工事

 この件の詳細については,研究紀要抜刷「情報化に対応する授業実践と指導上の課題」(東京学芸大学教育学部附属高等学校 第38集 平成133月)を参照されたい。

概要:学校に無許可で,生徒が勝手に自分の教室までネットワーク配線工事をしてしまった。目的は、日本の証券市場で株取引をするため。工事はしたものの,ネットワーク設定が正確に出来ず,インターネット接続は出来なかった。ネットワークの不正利用に関しては、未遂である。

問題点:工事に伴い、校舎に若干の損傷を加えた。ネットワークを無許可で使用しようとした。場合によっては,校内や校外のネットワークへの不正侵入などへも発展しかねない。

対応・対策:従来どおり?の生徒指導とともに、ネットワーク社会における倫理観を育てるる指導が必要であった(ちょうど,この年度から「情報」の授業が必修で始まり,この生徒がいた学年が「情報」授業を受けていない最後の学年であった)。対応や対策については,あえてここには記さない。

 

(2) ゲームソフトのダウンロード

概要:ネットワークから自分のホームディレクトリにゲームをダウンロードしてしまう。パスワードで管理された1000を越える生徒のホームディレクトリ内のファイルを、いちいちチェック管理することは困難であるし、たとえroot権限でも一般的にはすべきでないと考える。

問題点:大きなファイルのダウンロードを、大勢が行えばネットワークに無駄な負荷がかかる。何より、サーバーのメモリ-空間を無駄に消費する。また,ゲームの内容によっては、ネットワークに負荷をかける。生徒用端末数が不足している中でのゲームなどへの端末使用は,学習目的で端末を使おうとする生徒に迷惑である。

対応・対策:学習目的での端末使用を最優先するとし、原則としてゲーム、チャットをしないこととしている。また,ホームディレクトリの使用上限制限をかけている。場合によっては、授業中に生徒がホームディレクトリに接続しているときに、教官機からありそうなゲームのファイル名を検索し、指導したこともある。「情報」授業をはじめる前は、コンピュータ室端末のHDの奥深くに,ゲームを隠してあることが非常に多かったが、現在は激減していると思われる。また,「情報」授業が始まって以来、コンピュータ室の端末の故障は明らかにへっている。

 

(3)    リレーメールとSPAM

概要7年前,本校にサーバーが設置されたとき、様々な利便性から本校サーバへの校外からのアクセスは,ほとんど自由であった。その後、routerやサーバーの設定を変更し,外部からの侵入,不正利用対策をとってきた。しかし,その対策をとり始める直前にアメリカから、警告メールがネットワーク管理者に届いた。

SpamCop V1.2.3 -
This message is brief for your comfort.  More information:
http://spamcop.net/ispfaq.shtml
Enclosed spam originated on (or was anon-relayed through) your network:
****.****.****.**** / Sat, 1 Jan 2000 09:47:22 -0500. 
To see how SpamCop tracked this to your address:
http://spamcop.net/sc?id=2549984&crc=67494
To report action against this spammer and prevent further reports:
http://spamcop.net/w3m?menu=2549984

>The IP address ****.****.****.**** has been added to the MAPS Relay Spam Stopper(RSS) list.  This action has been taken because the host in question has had spam relayed through it, and it still appears to be open tothird-party relay.
>Please visit http://www.mail-abuse.org/tsi/ for more information about third-party relay, why it is bad, and how you can fix it.
>
>Many of our users are likely to refuse mail from your site because of this
>problem. Please secure your server so that it can no longer be used to
>relay spam to our users.
>
>For more information about this listing, including a sample of the spam
>from the host in question, please visit:
http://www.mail-abuse.org/cgi-bin/nph-rss?****.****.****.****
>We don't want to have your server on our list. After you've closed your
>server to third-party relay, please contact us for removal. Just visit our
>removal form at http://www.mail-abuse.org/cgi-bin/nph-rss-remove and we'll
>promptly retest and remove your server from our list, provided the problem
>has been addressed.
>
>Please address this problem. If you do not, we are likely to nominate your
>host for inclusion into the MAPS Realtime Blackhole List. If your site is
>added to their list, you may find your mail refused by as much as 40% of
>the internet. (See http://www.mail-abuse.org/rbl/ for further information
>about the RBL.)
>
>MAIL ABUSE PREVENTION SYSTEM LLC
>http://www.mail-abuse.org/rss/
>rss@mail-abuse.org

東京学芸大学教育学部附属高等学校 物理科 川角 博です。
教官サーバーのroot mailをチェックしていたら,なんと添付文のような連絡が来ていました。
 私たちのIP末尾**のサーバーが,SpamのためRSS listに載せられてしまったようです。警告は,3/15付けでした。ここにアドレスをのせられてしまうと,このリストのアドレスからのメールは受け付けないという仕掛けが入れてあることがあり,つまりメールが届かないサーバーがでてきていることになります。
添付の文によれば,
http://www.mail-abuse.org/cgi-bin/nph-rss-remove?****.****.****.****
formに従って送信すると,再テストしリストから削除してくれるとあります。
このformにはname,e-mail addressの他にmessage欄があります。
とりあえずの対策はとったつもりなので,テストしてリストからの削除をお願いしたいのです。
name;Kawasumi hiroshi
e-mail address;kawasumi@gakugei-hs.setagaya.tokyo.jp
message;We have improved  our machine ****.****.****.**** for spam.
Please retest and remove your RSS list.

問題点:「突然のメール失礼します。不要な場合は削除して下さい。」などと言いながら,無差別に送られてくるメールが後を絶たない。これらはコンピュータウィルスや不正アクセスなどと並んで 情報化社会における大変迷惑な存在である。これらの出し方、受信の仕方次第では、ネットワークを麻痺させることもある。

 このようなSPAMは,管理のあまいサーバーを踏み台としてリレーされる形で送信されることが多い。この場合には、そのサーバーは被害者と同時に加害者にもなる。

(参考 http://www.joy.hi-ho.ne.jp/sdc1/

対応・対策:校外からも自在に使えるほうが便利だとして,7年前にインターネット活用をはじめたときには,きわめておおらかなサーバーの管理状態であった。しかし、これがいけなかった。現在では、ルーターでのアクセスリストによる制限,サーバーでの制限などがかけてある(詳しいことはいえない)。特に,メールの発信は、現在の常識通り、外部から外部に向けては禁じている。もちろんまだまだセキュリティーホールがあることは分かっている。利用者の利便性、メンテナンスの問題など,天秤にかけて判断していかざるを得ない。

いずれにしても,問題となるリレーメールの発信者は,部外者であり,生徒の問題ではないと思われる。

 

2.2 Web関連

(1)    チャット荒し

概要:コンピュータ初心者がチャットに参加し,邪魔をしてしまった。必修「情報」の授業をはじめて1ヶ月くらいした頃,外部からメールと電話で、チャットあらしがいるので対応するように要求がきた。調べたところ,確かに放課後のコンピュータ室でチャットに参加し、わけのわからない書き込みをしている生徒がいることを確かめた。

 

突然のメールすいません。

お宅の学生とおもえるものが昨日午後3時すぎ、

http://www.****.or.jp/ayu/chat/のほうで

荒らし行為みたいなものをしたので報告いたしました。

履歴はもしかしたらhttp://www.****.or.jp/ayu/chat/logview.

cgi?******で見れるかもしれません。

ちなみに、発信元はpc12.****.****.****.jp

なっていました。

よろしくおねがいします。

しつれいしました。

 

東京学芸大学付属高校の教育工学委員会のものです。

こちらでも早急に調べてみますが、チャットを荒らしている

生徒のアドレスが分かりましたら、返信して下さい。

その方が対応が早くなりますので。よろしくお願いいたします。

 

問題点:書き込み内容が、意味不明、支離滅裂な内容を中心とし,およそチャット相手と話をしているとは思われない内容であった。これでは,チャット参加者は怒る。コンピュータネットワークの向こうに、生身の人間がいるという意識が薄すぎる。

対応・対策:その場で、チャットを止めさせ、事情聴取した。本人は,その日の授業ではじめてWebを使ったという。確かに,キー入力などは実におぼつかない。チャットで謝罪を書かせたら、うまく文字が入力できず,意味不明の文章が出来上がることがわかった。コンピュータネットワークが,人と人とをつなぐものであるという教育の必要性を痛感し、「情報」授業の多くの場面で、班活動によりネットワークを通じて協同作業をする授業展開を入れることとした。

***対応した後のメール***

2人ともコンピュータ初心者で、入力もままならない感じでした。

全部冗談ののりで発言していたといっていました。60%位は本当かと思います。

やや鬱屈した感じもあります(特に****)。少し気にかけた方がよいようです。

 

(2)    Web上での教育実習生への中傷,生徒会活動批判など

概要:ちょうど教育実習が始まった頃,Webページを作る学習をしていた。練習で作ったページには,「***の実習生ウザイ!」等とかかれていた。

 また,必修情報授業をはじめる前に入学した学年の生徒が,個人的に外部に持っているページに生徒会の問題を糾弾するページを作っていた。このページ自体は,外部サーバーであるが,本校の生徒用リンクから飛ぶページだ合った。

問題点Web上での悪口はイケナイ。毎日顔を合わせていながら,Webで悪口を言う感覚は間違っている。

 生徒会糾弾に関しては,Webにいきなりのせているのではなく,それまでも盛んにそのような活動をしてきた一過程であった。また,基本的には学校の管理外(本校サーバーからの生徒ページリンクは,校内のものであるが,校内の自分のページからさらにリンクしていた)の部分も多い。しかし,何も知らない外部の方がこれを見たときには,正しい判断が期待できるか疑問であると同時に,内部事情自体に問題があるように(まったく無いといってよかったのだが)思われ,迷惑である。

対応・対策:実習生の問題は,直ちに問題点を指摘し,削除させると同時に謝罪させた。

 生徒会問題は,生徒会役員との話し合いを続けさせるとともに,本校からのリンクを止めるよう指導した。

 ここでの大きな問題は,全校生徒1000にも及ぶホームページから,その枝ページまで入れれば,とてもすべてについて毎日のようにチェックすることは困難である。このような事態は,今後はさらに加速されるに違いない。そこには,誹謗中傷,著作権違反など様々な問題がありうる。このため,本校の生徒用ページは,表向きの本校ホームページからのリンクをしていない。もちろん,直接URLをいれれば外部から見ることはできるが。

 

(3) Webページの書き換え(パスワードの管理不行き届き)

概要:生徒のIDはその構造が単純であるので,誰のものかは分かりやすい。しかも,生徒のパスワード管理は実にあまく,クラスメイトにいたずらで,Webページを書き換えられてしまった。

問題点:他人のID不正利用,不正侵入,Web書き換えという損害を与えた。

対応・対策:友達関係から,書き換え犯人を割り出し,その問題点を十分に指導するとともに(授業では毎日のように指導していた),本人に謝罪させた。もちろん,これ自体を情報授業の話題として全クラスにも注意した。

 

(4) 掲示板あらし

授業行用掲示板で個人の中傷の推移とその対策などについての詳細は,研究紀要抜刷「情報化に対応する授業実践と指導上の課題」(東京学芸大学教育学部附属高等学校 第38集 平成133月)を参照されたい。

概要:オンラインディベートをするために,「掲示板の利用とネチケット」という学習をした。その直後から,この掲示板上で盛んに誹謗中傷の書き込みをするクラスが現れた。

問題点:掲示板の匿名性(実は校内の授業で使っているときには,完全な匿名では無いようにしてあったのだが)の陰に隠れて,隠された本音を表面化してきた。それは,単なる欲求不満のはけ口となり,人間関係を悪化させることはあっても改善されることは無い。普段の態度がどうあれ,クラス内の人間に対する疑心暗鬼は深まるばかりである。

対応・対策:関係したクラスについては,この問題についての注意を厳しく授業として実施し,さらには,この掲示板問題をテーマに「生の言葉」と「生の顔」で話し合いをさせた。

 他のクラスについては,このような問題が起こっている事実を示すとともに,コンピュータを使わないで,本件のような問題についての話し合いの授業とした。

 もちろん,インターネット上の掲示板というものの上で,このようなことが起こったのは事実であるが,問題の本質はインターネットの掲示板ではなく,そのような人間関係や精神構造そのものにある。それを掲示板が顕在化させてしまったのである。つまり,ネチケット教育と同時に,それ以前に,人間関係を円滑にする教育が必要なのである。インターネット時代の情報教育は,実はこれまで以上に生身の人間関係を大切にできる教育で無ければならない。

 

(5) 著作権問題

概要:生徒の自由研究課題で,引用などに問題があり著作者から指摘があった。

***メールより***

はじめてメールを出します。
私は****と申します。
*****を調べている作家であります。
***より「****」という著書を発行しています。
貴校関係のHPであります、
http://www**.gakugei-hs.setagaya.tokyo.jp/~****/****.html
にあります、****の記述ですが、****から転載しているようですが引用元の記載がございません。
 また、かなり転載が長いようです。歴史的記述につきましては、生徒さんのことですから多少はいたしかたないかなとは思いますが、・・・略・・・ちょっといただけないかなと思います。また、・・・略・・・おりますので、著作権について生徒さんへご教育のほどお願いいたします。

問題点:著作権上の扱いに関する問題とともに,自らのオリジナリティーの貧しさにも問題がある。

対応・対策:直ちにお詫びの返信をするとともに,該当の生徒に教育工学委員会から,正式に事情を聞き,問題部分を削除させた。

 著作権の扱いについては難しい問題が多く,特に教育活動で引用をいかに利用させるかなど微妙である。しかし,一貫して生徒に訴えているのは,自らが作り出したオリジナリティーあふれる情報こそ価値があり,一見,見栄えのよいページであっても中身が無ければただのごみページであること。発信に値する情報をもつことが先決である。そのような指導を,常に続けている。

 また,図や写真を自ら描き,撮影し,加工できるような授業をしオリジナリティを高く評価するようにしている。つまり,日常的な授業の中で,正しい価値観を与え,また自分の作品ができる環境(例えばデジカメは24台用意してある)を整備しているのである。

 同時に,今年度の生徒用ページからは,ロボット検索にかからない仕掛けも導入し,部外者が生徒のページを閲覧する可能性を低くした。

 

(6) Webへの写真掲載

概要:教師も生徒も意外と無頓着に写真を貼ってしまう。デジカメを授業で使い始めた頃は,教官が授業案の中で,「お互いの写真を撮り自分のページに張ろう」などという企画を出してしあったこともある。また,Web上からアイドルの写真をダウンロードし,教材例としてWebページにはってしまったこともある。

問題点:特に授業でWebページを作っていると,なんとなくこれが世界中につながってしまうという意識に欠ける。授業だけのもののような気がするのである。外国のページもあまりにも用意に接続できてしまうので,かえってインターネットにグローバルなイメージが感じられないのであろう。

対応・対策:写真については,顔のはっきりわかるものはWebにのせないように指導している。その理由ももちろん話した上で。ただ,学年の活動をのせているページでは,生徒自身の活動を見ることができるとして,保護者から期待されている。保護者には,誰だか分かりにくいページであることは,ご理解いただくようにつとめている。もちろん,このページも外部向けページからのリンクは無い。

 

2.3 メールなど

(1) 安易なコピーや引用

概要:情報授業やその他の授業での課題としてのレポートには,ずいぶん安易な他人(生徒同士も含む)のレポートのコピーがある。レポートの大半が引用?であったりもする。問題点:書物を調べ,まとめることも学習ではあるが,例えば実験レポートでその原理について誰かのコピーを書いてもあまり価値は無い。しかし,書物をまとめることが調べ学習のように実施されつづけているのも,実態であろう。

対応・対策:少なくとも,引用先は明確にし,自らの本文が主体となるレポート,特に実験レポートでは,自らが実験で得た情報に基づいて論じるべきであることを教育している。

 

(2)なりすましメールでのいたずら

概要:

問題点:

対応・対策:

 

(3)メールでの嫌がらせ(対生徒、対教師)

概要:

問題点:

対応・対策:

 

(4)巨大添付メール

概要:安易な添付ファイルが,自分の首をしめてしまうことがある。

***メールから***

5/7にメールに関してちょっとした事件が起こりました。ちょうど今時の情報授業の生きた教材となりそうですので、報告しておきます。

N先生が、同学年の某A先生にjpegファイルをメール添付しました。サイズは5.8Mという添付には禁断のサイズでした。かくしてA先生のメールがパンク状態になり、抜けだせなくなってしまったようです。

 このファイルをサーバー上で確認したところ、暗号化されて約8Mになっていました。

 実は、本校ネットワーク自体は、これくらいは平気のはずですが、端末やメールソフトの設定次第です。この程度の容量ならば、端末のメールソフトの設定次第で十分に読み込めるはずではあります。特に生徒環境は強力ですので、一人や二人がやる分には、十分にたえるはずです。

 巨大なメールがきて困った場合には、・・・(以下対策について)。

問題点:自分の端末が動かなくなる,メールが使えなくなる,サーバーやネットワークに負荷がかる,など

対応・対策:これができない設定も可能であるが,今のところおおらかな設定になっている。実際にいろいろな事件を経て,教官自身が身についた学習をしているといえるが・・・・。

 

(5)アドレス間違いによる混乱

概要:生徒のアカウントは単純な構造で似ているために,悪意がなくても間違いが起こる。

問題点

対応・対策

 

(5)メーリングリストでの問題

概要:クラスごとのメーリングリストの生徒による勝手な使用が稀にある。以下の例では,全一年生にアンケートを送っている。生徒は,授業関連だと思い,授業中にアンケートに答え始めてしまった。

***メールより***

初めまして、**期*組の**ともうします。突然のメール失礼します。この度48期のみなさんにメールをいたしましたのは僕のかなり個人的な趣味でちょっとしたアンケートに参加していただきたかったからです。アンケートの主旨は、「音楽に対する意識、姿勢」みたいなの。なんか堅苦しい言葉使って書いてみてますけど全然軽いものなんでかる〜い気持ちで答えてみてください。あと、先生にもいわれたと思うけどこんな風にメールリストを濫用するのはやめましょうね;

それでわアンケートの始まりです。ご協力をお願いします。

******

問題点:このメールに対して出したメールを以下に示す。

このメールに対してアンケート内容に大きな問題は無さそうですが、自分自身でも濫用しないように、と述べているように、濫用はしないで下さい。

 学外の人には使っていただきたくありませんし、学内の生徒の場合にも、勝手に使わないように言っています。

このメーリングリストを学校の学習活動以外の目的で、多くの人が勝手に使うと、様々な支障を来します。

対応・対策:さらに,以上のメールに対して生徒の反応が帰ってきた。対応したメールを示す。

あなたが悪いことをしたなどとは思っていませんので、誤解のないように。校内ネットワークに支障をきたした,ということはありません。生徒へのメーリングリストを絶対に生徒が使ってはならない、というのでもありません。1年での情報の授業のはじめに,メーリングリストを,生徒が勝手に使わないこととしています。内容にもよりますが、こちらが了解してさえいれば,生徒が生徒用メーリングリストを使うことは可能です。しかし,生徒がこのメーリングリストを濫用してしまうと、様々な問題が生じるでしょう。

 要は,授業に支障をきたさない,内容に問題がないものであればよいでしょう。

 あなたも含めて、みんなが,現実的な情報活用能力を育てて欲しいと願っています。

 頑張ってください。

 

> そのかわり、といってはなんですが、全生徒に対するアンケ

> ートの方法の代案をだしていただけると嬉しいです。

 

 これまでも、生徒会が全校生徒にアンケートをしてきた例は,いくらでもあるでしょう。この場合には,もちろん印刷物を各クラスに配り,回収するという地道な活動をしたのだと思います。

 メールやWebを使って効率よくアンケートをする時代がやってきていることも確かですので、これを否定はしません。

 突然,勝手に舞い込んでくる正体不明のアンケートは,私たちあてにも少なくありません。これについては,個人的にはあまり好きではありません。内容や相手によっては、返信せずに無視してしまうことがあります。

 このような場合、アンケートの返信者はある傾向をもってしまい、本当の意味でのアンケートになるのかどうか疑問です。アンケートを回収できて分析対象とする母集団は,すでに作為的な集団になってしまっています。

(アンケートに模した、宣伝、勧誘、といったものも少なからずありますが・・・・,そういうやり方は、好ましくない)

 

(6)チェーンメール

概要:チェーンメール問題は,電子メールを使い始める際に,必ず扱っているが,教官もかつては引っかかっていた。

****>***先生のお知り合いからの情報です。

****>********************

****>*緊急:インタ-ネットにウイルス侵入 *

****>********************

****>

****>1 Subjectの所に”Good Times"と書いてあるメ-ルが来たら、絶対に読まないように。

****>  (つまり、クリックして開かないように)

****>2 読み込んでしまうと、コンピュ-タのハ-ドデイスクが破壊されてしまうそうです。

****>3 それだけではなく、プロセッサ-も破壊されてしまうという、今までにない強力なものです。

****>4 このウイルスは、非常に賢くて、メ-ルボックスに入っている宛名の人全部に自動的にこのウイルスメ-ルを送ってしまうそうです。読み込まない限り大丈夫だそうです。知り合いの人にできるだけ、情報を回して下さい。  

****>UCLAの教官の間に、侵入したという緊急情報が情報源です。

問題点:内容によっては,判断しにくかったり,むしろ流す必要があったり,真偽を確かめること自体が回線に影響を与え兼ねなかったり,きわめて難しい。

対応・対策:それらしいものや正体不明のメールについては,無視して削除する・・・。

 

2.4         ウィルス関連

 AutoStart9805関連の詳細に関しては,研究紀要抜刷「情報化に対応する授業実践と指導上の課題」(東京学芸大学教育学部附属高等学校 第38集 平成133月)を参照されたい。

(1)ウィルス感染

概要:校内の多くの端末が感染し,これを題材に授業をした。また,附属中学校などからのウィルス添付もあった。

***メールより***

教育工学委員会のみなさまおよび、TAの方々へ

 どうもです。実は、校内のMacやZipディスクが、AutoStart9805という名前で呼ばれているウイルスに感染しているようです。

 事の発端は、11日(土)の公開研の際に、地学の林先生がkgkPowerBookを使用してから、自分のマシーンの調子がおかしくなったので、ウイルスチェックをしてみたら、上記の名前のウイルスに感染していることがわかったわけです。

 それを21日(火)に聞いた田中が、すぐにノートンアンチウイルスを購入し、自分の使っているMacやZipディスクを調べたところ、案の定、感染していました。

 その後、物理や化学関係のMacやZipディスクを調べたところ、次から次へと、ウイルスがでるわ、出るわです。

 特に、成績処理のZipディスクは、間違いなく感染しています。

 視聴覚室のG3も感染していましたし、かなり広い範囲での感染が考えられます。

***附中からのウィルス***

川角先生

学大世田谷中の****です。

自宅のパソコンより送信しています。

早速ですが、本校の共用パソコンがウイルスに感染しました。メールの履歴のある方にお知らせしています。

以下のような不審なメールがありましたら、添付ファイルを開かずに、削除して下さい。

発信者 nec

件名 文字化けしています

英文と添付ファイルがあります。

問題点:校内に蔓延したマックウィルしに関しては,生徒のホームディレクトリ(つまりUNIX)にすら感染(発症はしない)する。この一つ一つをチェックするのは至難の業である。

 一方,附中から送られてきたウィルスはWindowsにしかつかないので,校内では問題はほとんど無かった。しかし,教員が個人的にWindowsも使っており,そこへの感染が気がかりであった。特に始末の悪いのは,附属中学からきたことであろう。結局,このウィルスは私宛に5通以上きた。

対応・対策:マック用のウィルス対策は,「ウィルスに関する授業」として処理をした。ウィルス削除については,インターネット上のフリーソフトを利用した。教官機は,ウィルス対策ソフトを入れ(ライセンス購入)たが,生徒用までは予算が無い。

 附中からのウィルスに関しては,以下のようなメールを出し,警告した。

***メールから***

82324日に都合3通のウィルス添付メールを受けました。

kgkあてにも来ていますので,皆さんのところにも出回っている可能性が大です。

いずれも同じで,調べた所、W32/SirCam.gen@MMというウィルスで,この1ヶ月ほど

猛威を振るっているようです。

 このウイルスは Windows 32ビット環境下で動作するウイルスです。このウイルスに感染するとウイルスを添付したメールを送信します。

発病:1016日に Cドライブのすべてのファイルとディレクトリを削除する。起動時にハードディスクの未使用スペースを埋めてしまう。これらの症状がおこる可能性がある。また、MS-WordMS-Excel などのデータファイルに感染し、添付ファイルとして送信するので、 秘密情報が漏洩する危険性がある。

関連情報はhttp://www.ipa.go.jp/security/topics/sircam.htmlにあります。ここには,ワクチンソフトのありかについても書いてありますので,ご確認ください。

 

2.5 その他

(1)    ネットワーク回線構造とファイル共有に関する問題

(2)    無線LANの問題;今後,実験室などで無線LANによりプライベートアドレスを活用するようになる。このとき、新たな問題が考えられる。

 

 以上のような諸問題の原因としては、コンピュータネットワークの向こうに人間がいるという認識の希薄さ,コンピュータネットワークの大きな影響力の認識不足、コンピュータネットワーク時代における人権意識の理解不足,コンピュータネットワークの仕組みの理解不足などが考えられる。

 今後更なる問題も出てくるであろう。これらの対策に,様々な知識,技能,センスなどの全知全能をもって当たっていく日々が続く,情報教育にはそんな側面がありそうである。

 

3 おわりに

 めまぐるしく変化する情報化社会に対応する情報教育は,容易ではない。社会に出てから生徒がより良い情報化社会を築いていくには、学校で「してはいけないことをできなくしておく」のではなく、「できるけれどもしない心と行動力を育てる」ことが大切である。多くの倫理観は,社会生活の中で育てられている。「人を傷つけてはいけない。」「物を盗んではいけない。」などは,そのこと自体を教えているというより,成長の過程でそのような価値観を自然に育てているのである。

 情報化社会における倫理観は,少なくとも現在のところ,これを育てるような家庭環境は存在しない。すなわち,学校教育で情報化社会における倫理観を育てるしかないのである。

 著作権を含め,様々な情報化社会における価値観は,情報授業の中の一こまで育とうはずがない。日常的なあらゆる活動で,そのような価値観が育つような環境を与えていくしかないのである。