校長BLOG

第42回校長BLOG

2023 2学期始業式挨拶

今日は。皆さん、夏休みはどうでしたか。辛夷祭の準備と部活動、そして学習、思っていた以上の活動ができたでしょうか。
今日は、久しぶりのコロナをあまり意識しないですむ始業式です。とは言っても、目立たぬだけで、まだまだ身の回りにSARS-CoV-2は潜んでいます。気を緩め過ぎず、3密には気をつけてください。不特定多数との接触、特に辛夷祭は要注意です。

今日は2つの話をします。
1 一つは先のAIの話につながるITの話です。
ITと言えば、インターネット。
インターネットの利点は、まず第一に情報の民主化。今までだったら専門家しか手に入らなかった高度な情報を普通の一般人が手に入れることができるようになりました。うまく活用すれば、だれもが多くのことを学ぶことができます。経済的に豊かでなくても、最先端の研究成果さえ身につけることができます。外国の有名大学の講義も聞くことができます。
第二には、仕事に国や地域の限定が無くなったこと。インターネットのコミュニケーション能力を活用すれば、サハラ砂漠に住んでいようがアマゾンのジャングルにいようがニューヨーク市場で投資のビジネスができるわけです。
第三には、質の良い芸術に気軽に親しめるようになったこと。音楽や演劇、美術など、ウィーンやパリ、ニューヨークにいるかのように気軽にアクセスできるようになりました。
逆に、デメリットは、利点の裏返し。フェイクニュースが飛び交い、確度の低い情報も多々あります。むしろ、いかがわしい情報の海の中に、真実が紛れている状況です。また、一度漏れ出した情報は無制限にほとんど永遠に広がり漂っていきます。
また、ITによるグローバル化で、経済的に恵まれた環境に生まれた私たち日本人は、就職において今までのアドバンテージを失っていくことでしょう。私たちより優秀で低賃金のアフリカの人々、南米の人々、アジアの人々と競争しなければなりません。現にコンピューターのプログラムなどは多くインドで作られています。さらに、ブラックビジネスとして、ITを悪用した世界規模の詐欺や犯罪が発生しています。
対抗策として、以下のことが考えられます。
⑴ ネットや生成AIを利用して得られた情報は、他のニュースソースで確認する等の裏を取ってから使うべきこと。
⑵ 不用意に自分の情報をアップしないこと。本校と契約しているネットパトロールからは、相変わらず本校生の不適切な情報漏洩が報告されています。悪用されないよう、自分と自分の周りの人の情報をみだりにアップしないことです。
⑶ ネット犯罪の被害者にも加害者にもならないよう、厳重に注意すること。ネットを悪用した犯罪に巻き込まれないようにするためには、やはり確かな裏を取ることが大事です。条件の良い誘いがあっても、それとは異なる情報源で確認することです。
⑷ 確かな基礎的知識と柔軟な創造性を身に付けて、自分自身の付加価値をグローバル化しておくこと。グローバル人材と言えばダイバーシティ、多様性を理解し受け入れ共に働くことです。
因みに、この文章はAIに作成させたインターネットの功罪を大幅に換骨奪胎して作成しました。ほとんどAI作成の文章そのものやアイデアは残っていませんが、それでも作文の時間は短縮されました。

2 ダイバーシティということで、後半の話に繋がります。皆さんは、イタリアという国を知っていることと思います。
イタリアは紀元前8世紀ころエトルリア人により征服され、その後ローマ人の先祖により王政ローマが成立、元老院中心の共和制ローマを経てユリウス・カエサルによりローマ帝国の礎が築かれ①紀元1世紀には世界の文明の中心の一つとなりました。このころは、ユピテルを主神とする多神教でした。
さらに、4世紀には、ローマはカトリックである②キリスト教の中心地、世界の宗教の中心の一つとなりました。中世には日本の戦国時代よろしく小国乱立で戦争に明け暮れていたが、14世紀から16世紀にかけてイタリアルネサンスが勃興、③世界の文化の中心の一つとなりました。また、ルネサンス期には、ベネツィアを筆頭に東方貿易の中心、④ヨーロッパ世界の経済の中心となりました。その後合従連衡を繰り返し、1861年にイタリア王国として統一されました。
第二次世界大戦ではファシスト党が政権を握りドイツ・日本と組んで枢軸国として敗戦を迎え、資本主義・民主主義国家として現代に至っています。北部(ミラノ、ジェノバ)は主に工業、中部(ローマとフィレンツェ)と南部(ナポリ)は主に農業と観光。イタリア料理は現在のフランス料理の基となるとともに、ナイフやフォークをヨーロッパにもたらしました。
因みに、明治維新は1868年。もともとは多神教の世界で、八百万の神がいて後に一神教も入ってきたこと。小国の合従連衡、戦争が長く続き、近代国家としての統一時期もほぼ同じ。日本とよく似ていますね。異なることは、イタリアは過去に何度もいろいろな分野で世界の中心となっていることです。イタリアの人々はこのような歴史と文化の下どのような考えを持っているのか。もっと深く知りたくはありませんか。
ということで、今日から1年間、私たちの仲間となるイタリア人の○○を紹介します。イタリア語以外では、英語を少し話します。とりあえず、共通言語は英語ですが、チャンスは前髪を掴め、是非、皆さんはこの機会に少しでもイタリア語を覚えてください。さらに○○に日本語を教えてください。積極的に話しかけ仲良くなってください。
では、○○、per favore presentati

今月の1冊
『沈黙の勇者たち―ユダヤ人を救ったドイツ市民の闘い-』、岡典子著、新潮選書、を読んだ。サブタイトルが内容を端的に表す。ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺の際、ユダヤ人を助けたドイツ市民の記録である。
強く心に響いたのは3点。
⑴ 多くの「普通の国民」が残虐な行為に加担してしまう状況
⑵ その中にあって、自分の生命さえ危険にさらしながらユダヤ人を助けたドイツ市民の心情と行動
⑶ にもかかわらず、愚劣かつ残虐な行為を止めさせたのは、圧倒的な米ソの軍事力であ
ったこと
① ゆでガエル?
変化が少しずつだとリスクに気がつかず、気がついたときには手遅れになっていたことをゆでガエル理論と言うそうだ。独裁的な国家がしっかりとシステムを構築した後では、普通の市民が声を上げ反対することは困難である。しかし、ナチが政権を獲得していく過程では、言論の自由とナチに反対する政党への投票権は保証されていた。国家再建、経済再建とともにユダヤ人排斥も『民主的に』選択されたのかもしれない。
② 普通の国民が偉大なことを成し遂げた
ユダヤ人を助けたのは、命知らずの英雄ではない。普通の市民が、自分と家族の安全を配慮しつつ、しかし、『困っている人』を助けたい、と思い行動した。さらに、多くの場合、それらの善意の人が緩やかで柔軟な組織を作った。1人だけではとても匿いきれなくても、多くの市民がリレーし協力し合って行動することにより、多数のユダヤ人を救うことができた。小さな?勇気と大きな連帯が、感動的な成果を生んだ。
③ 軍事力の働き
しかし、ユダヤ人の虐殺を根本から止めたのは、善き市民の勇気ではなく、アメリカ軍とソ連軍を中心とした連合国軍の圧倒的な軍事力だった。現代のロシアによるウクライナ侵攻の推移をみても、軍事的なパワーの有効性は残念ながら極めて大きい。長年の中立国がNATOに加盟申請するのも、むべなるかな。

ということで、本書は困難なことを成そうと志す人、歴史と社会と人間を深く知ろうと思う人にとって良い糧となる。一読を。