第2学期始業式 校長講話(要旨)

第2学期始業式 校長講話(要旨)

充実した夏休みを過ごし、元気な姿で新学期を迎えられたことを大変嬉しく思います。

今日から始まる2学期は、1年の中で最も活気にあふれ、密度の濃い学期です。今週末に文化祭(辛夷(こぶし)祭(さい))を控えている皆さんにとっては、夏休み中から準備に奔走し、「今日から学校が始まる」という感覚ではないかも知れません。一方で、授業も本格的に再開し、3年生にとっては進路に向けた正念場でもあります。今の皆さんは、まさに「非常に忙しい」状況にあると言えます。

そこで今日は、「忙しさ」と「時間の使い方」について話をします。

英語圏には、“If you want something done, ask a busy person.”(「何か仕事を頼むなら、忙しい人に頼め」)という言葉があります。少し逆説的な言葉です。

忙しい人ほど、限られた時間の中で優先順位をつけ、集中して一つひとつの物事を完結させることができる。つまり、「時間の使い方を自分で決める力」を持っているというのです。

一日は誰にとっても24時間であり、増やすことはできません。だからこそ、「時間をどう使うかを自分で判断する」ことが重要になります。

これは勉強においても同様です。単に机に向かった時間の長さではなく、「今日は何を優先し、どこまで理解するのか」を自ら判断し修正できる力こそが、本質的な学力の一部です。

また、忙しくなると人は「文化祭をとるか、勉強をとるか」と二者択一で考えがちです。辛夷祭を頑張れば勉強ができない。本当にそうでしょうか。私はそうではないと考えています。むしろ、高校生活の中で、いくつものことに本気で取り組む経験こそが、人を成長させます。これは、本校が大事にしている考え方です。

限られた時間の中で仲間と協働し、不測の事態に対応し、自らの役割を果たす。学校行事、探究活動、部活動などで培われるこれらの経験は、粘り強く課題に向き合う力や、状況を客観的に捉えて学びを修正する力へと直結しています。大学に進み、さらに社会に出れば、複数の課題を同時に抱えながら優先度を判断する場面ばかりです。皆さんは高校生活の中で、すでにその貴重な練習を重ねています。

ただし、「忙しい人ほど立派だ」ということではありません。睡眠を削り無理を重ねて体調を崩すことを私は勧めているわけではありません。休むべき時には休み、一人で抱え込まず周囲に頼ることも、極めて重要な自己管理の力です。

「自分は何に時間を使うのか」「今、最も大切なことは何か」。

忙しさに振り回されるのではなく、自ら考え、行動を選び取ってください。辛夷祭にも本気で取り組み、日々の授業にも本気で向き合う――その両方に挑戦することこそが、附属高校生徒の真骨頂です。

皆さんにとって、実り多き充実した2学期になることを心より期待しています。

令和8年度第1学期終業式 校長講話(要旨)

令和8年度第1学期終業式 校長講話(要旨)

期末考査が終わりました。

ここで、皆さんに少し考えてほしいことがあります。皆さんが本校で身に付けるべき能力とは、どのようなものなのでしょうか。

一般に人の能力には、テストで測れる「見える能力(認知能力)」と、粘り強さやコミュニケーション力といった「見えにくい能力(非認知能力)」と言われる2つがあります。

この2つは車の両輪のように、どちらが欠けても成り立ちません。皆さんは、どうしてもテストの結果や偏差値など、数値で表される能力に意識が向きがちですが、もし勉強で行き詰まりを感じたとしたら、その原因は勉強への向き合い方や意欲など「見えにくい能力」の側にあることも多いのです。

 

さて、本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)として探究活動に積極的に取り組んでいます。7月11日には、文部科学省から大臣政務官をはじめとする視察団が本校のSSHの取組を視察に訪れました。皆さんの熱心な探究活動に対して、非常に高い評価と今後の支援のお言葉をいただきました。

 

今、学校教育は2040年代の社会変化を見据え、大きな変革期を迎えています。その中で私が特に注目しているのが、文系・理系の区分や課題解決に向けた探究活動の在り方です。

 

文理の区分は、大学の入試科目を意識したものであり、効率的に受験勉強を進める上では役に立つ場合もあるかも知れません。しかし、いわゆる理系の人材にとって、歴史や古典といった文系の学びは邪魔なものなのでしょうか。なぜ、グローバル企業のリーダーたちは広く芸術やスポーツまで重視するのでしょうか。もちろん、皆さんが就職するこれからの社会では一方の知識だけでは決して十分ではありません。本校が文系・理系のコース分けを行わず、全員がすべての教科をバランスよく学ぶ理由もここにあります。

 

本校のSSH活動では、サイエンスを自然科学のみに留めず、社会科学や人文科学も含めたあらゆる学問領域と捉えています。つまり、生徒一人一人が関心を持つすべての領域がSSH探究の対象となります。

 

しかしながら、皆さんの様子を見ていると、時折「探究に時間を使うと、受験勉強が遅れるのではないか」と不安や躊躇を感じているのではないかと思える場面があります。ですが、決してそうではありません。各教科の勉強で得られる知識は探究というエンジンを動かす燃料であり、探究はその知識に真の意味を与える営みです。そして、探究活動は皆さんの思考を鍛える場であり、テーマが決まらない、データが予想と違う――そうした行き詰まりの中で考え続ける経験こそが意味を持ちます。探究学習で培われる「答えのない課題に対峙する力」は、単なる入試の正解選びを超えて、将来社会で活躍するための揺るぎない土台となります。これこそが、「見えにくい力」であり、本校の目指す「本物の教育」につながります。

 

1学期の振り返りを力に変えて、目の前にある課題に全力で向き合っていってください。

この夏休みが、皆さん全員にとって自らの可能性を大きく広げる充実した時間となることを願っています。

SSH事業 サイエンスフェア(2026)

SSH事業 サイエンスフェア(2026)

Good morning, everyone.
My name is Kunihiro Hada, Principal of Tokyo Gakugei University Senior High School. It is my great honor to welcome you all to the Science Fair 2026.

First of all, I would like to extend my warmest welcome and deepest gratitude to our very special guests from the Royal Thai Embassy in Japan, including Mr. Vorapong Vadhanasindhu. This is the first time we have the privilege of welcoming representatives from the Embassy to this event.

Our school has a proud history of receiving more than 100 government-sponsored international students from Thailand. We are very happy to further strengthen our deep ties with Thailand today with your kind support.

I would also like to welcome the teachers and students from Princess Chulabhorn Science High School Chiang Rai, as well as the students from Hyogo Prefectural Sanda Shounkan Senior High School, Institute of Science Tokyo High School, and Tokyo Gakugei University International Secondary School. We are truly delighted to have you all here.

Furthermore, my deepest appreciation goes to the university professors and researchers joining us today as advisors. Thank you for taking time out of your busy schedules to guide and advise our students.

Today, we gather to celebrate the power of exploration, creativity, and student-driven research. This event is a wonderful opportunity to share your ideas, challenge assumptions, and connect with one another through science.

Let’s enjoy today with open minds, learn from each other, and continue building friendships. I now declare this Science Fair open with curiosity, respect, and a spirit of collaboration.
Thank you.

みなさん、おはようございます。
東京学芸大学附属高等学校校長の羽田邦弘です。サイエンスフェア2026に皆様をお迎えできますことを、大変光栄に思います。

初めに、在日タイ王国大使館のウォラポン・ワッタナシン(Mr. Vorapong Vadhanasindhu) 様をはじめとする特別ゲストの皆様に、心からの歓迎と感謝を申し上げます。本イベントに大使館の代表の皆様をお迎えできますのは、今回が初めてのこととなります。

本校はかつて、100名を超えるタイ政府国費留学生を受け入れてきた誇りある歴史がございます。皆様の温かいご支援のもと、本日、タイとの深い絆をさらに強めることができますことを大変嬉しく思っております。

また、プリンセス・チュラポーン・サイエンス・ハイスクール・チェンライ校の皆さん、そして兵庫県立三田祥雲館高等学校、東京科学大学附属科学技術高等学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校の皆さんをお迎えできますことを心より嬉しく思います。皆様のご参加を心から歓迎いたします。

さらに、本日アドバイザーとしてご出席いただいております大学の先生方や研究者の皆様に深く感謝申し上げます。お忙しいスケジュールの中、生徒たちへのご指導・ご助言をどうぞよろしくお願いいたします。

今日、私たちは探究心、創造性、そして生徒主導による研究の力を確認し合うために集まりました。本イベントは、科学を通じてアイデアを共有し、当たり前を問い直しながら、お互いに交流する素晴らしい機会です。

心を開いて今日という一日を楽しみ、互いに学び合い、友情を育みましょう。好奇心、敬意、そして協調の精神をたたえ、ここにサイエンスフェアの開会を宣言いたします。