
令和8年度第1学期終業式 校長講話(要旨)
期末考査が終わりました。
ここで、皆さんに少し考えてほしいことがあります。皆さんが本校で身に付けるべき能力とは、どのようなものなのでしょうか。
一般に人の能力には、テストで測れる「見える能力(認知能力)」と、粘り強さやコミュニケーション力といった「見えにくい能力(非認知能力)」と言われる2つがあります。
この2つは車の両輪のように、どちらが欠けても成り立ちません。皆さんは、どうしてもテストの結果や偏差値など、数値で表される能力に意識が向きがちですが、もし勉強で行き詰まりを感じたとしたら、その原因は勉強への向き合い方や意欲など「見えにくい能力」の側にあることも多いのです。
さて、本校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)として探究活動に積極的に取り組んでいます。7月11日には、文部科学省から大臣政務官をはじめとする視察団が本校のSSHの取組を視察に訪れました。皆さんの熱心な探究活動に対して、非常に高い評価と今後の支援のお言葉をいただきました。
今、学校教育は2040年代の社会変化を見据え、大きな変革期を迎えています。その中で私が特に注目しているのが、文系・理系の区分や課題解決に向けた探究活動の在り方です。
文理の区分は、大学の入試科目を意識したものであり、効率的に受験勉強を進める上では役に立つ場合もあるかも知れません。しかし、いわゆる理系の人材にとって、歴史や古典といった文系の学びは邪魔なものなのでしょうか。なぜ、グローバル企業のリーダーたちは広く芸術やスポーツまで重視するのでしょうか。もちろん、皆さんが就職するこれからの社会では一方の知識だけでは決して十分ではありません。本校が文系・理系のコース分けを行わず、全員がすべての教科をバランスよく学ぶ理由もここにあります。
本校のSSH活動では、サイエンスを自然科学のみに留めず、社会科学や人文科学も含めたあらゆる学問領域と捉えています。つまり、生徒一人一人が関心を持つすべての領域がSSH探究の対象となります。
しかしながら、皆さんの様子を見ていると、時折「探究に時間を使うと、受験勉強が遅れるのではないか」と不安や躊躇を感じているのではないかと思える場面があります。ですが、決してそうではありません。各教科の勉強で得られる知識は探究というエンジンを動かす燃料であり、探究はその知識に真の意味を与える営みです。そして、探究活動は皆さんの思考を鍛える場であり、テーマが決まらない、データが予想と違う――そうした行き詰まりの中で考え続ける経験こそが意味を持ちます。探究学習で培われる「答えのない課題に対峙する力」は、単なる入試の正解選びを超えて、将来社会で活躍するための揺るぎない土台となります。これこそが、「見えにくい力」であり、本校の目指す「本物の教育」につながります。
1学期の振り返りを力に変えて、目の前にある課題に全力で向き合っていってください。
この夏休みが、皆さん全員にとって自らの可能性を大きく広げる充実した時間となることを願っています。

SSH事業 サイエンスフェア(2026)
Good morning, everyone.
My name is Kunihiro Hada, Principal of Tokyo Gakugei University Senior High School. It is my great honor to welcome you all to the Science Fair 2026.
First of all, I would like to extend my warmest welcome and deepest gratitude to our very special guests from the Royal Thai Embassy in Japan, including Mr. Vorapong Vadhanasindhu. This is the first time we have the privilege of welcoming representatives from the Embassy to this event.
Our school has a proud history of receiving more than 100 government-sponsored international students from Thailand. We are very happy to further strengthen our deep ties with Thailand today with your kind support.
I would also like to welcome the teachers and students from Princess Chulabhorn Science High School Chiang Rai, as well as the students from Hyogo Prefectural Sanda Shounkan Senior High School, Institute of Science Tokyo High School, and Tokyo Gakugei University International Secondary School. We are truly delighted to have you all here.
Furthermore, my deepest appreciation goes to the university professors and researchers joining us today as advisors. Thank you for taking time out of your busy schedules to guide and advise our students.
Today, we gather to celebrate the power of exploration, creativity, and student-driven research. This event is a wonderful opportunity to share your ideas, challenge assumptions, and connect with one another through science.
Let’s enjoy today with open minds, learn from each other, and continue building friendships. I now declare this Science Fair open with curiosity, respect, and a spirit of collaboration.
Thank you.
みなさん、おはようございます。
東京学芸大学附属高等学校校長の羽田邦弘です。サイエンスフェア2026に皆様をお迎えできますことを、大変光栄に思います。
初めに、在日タイ王国大使館のウォラポン・ワッタナシン(Mr. Vorapong Vadhanasindhu) 様をはじめとする特別ゲストの皆様に、心からの歓迎と感謝を申し上げます。本イベントに大使館の代表の皆様をお迎えできますのは、今回が初めてのこととなります。
本校はかつて、100名を超えるタイ政府国費留学生を受け入れてきた誇りある歴史がございます。皆様の温かいご支援のもと、本日、タイとの深い絆をさらに強めることができますことを大変嬉しく思っております。
また、プリンセス・チュラポーン・サイエンス・ハイスクール・チェンライ校の皆さん、そして兵庫県立三田祥雲館高等学校、東京科学大学附属科学技術高等学校、東京学芸大学附属国際中等教育学校の皆さんをお迎えできますことを心より嬉しく思います。皆様のご参加を心から歓迎いたします。
さらに、本日アドバイザーとしてご出席いただいております大学の先生方や研究者の皆様に深く感謝申し上げます。お忙しいスケジュールの中、生徒たちへのご指導・ご助言をどうぞよろしくお願いいたします。
今日、私たちは探究心、創造性、そして生徒主導による研究の力を確認し合うために集まりました。本イベントは、科学を通じてアイデアを共有し、当たり前を問い直しながら、お互いに交流する素晴らしい機会です。
心を開いて今日という一日を楽しみ、互いに学び合い、友情を育みましょう。好奇心、敬意、そして協調の精神をたたえ、ここにサイエンスフェアの開会を宣言いたします。

令和8年度 入学式 校長式辞(要旨)
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
第73期 326名の皆さんを、在校生および教職員を代表して心より歓迎いたします。
今日から皆さんが学ぶ東京学芸大学附属高校は、単に知識を習得する場ではありません。探究活動や学校行事、部活動などを通して、大きく成長していくためのフィールドです。
皆さんは「自助、共助、公助」という言葉を聞いたことがあるでしょう。主に防災分野で使われる言葉ですが、私はこれこそが、これからの3年間、そして未来を生きていくための不可欠な「学びの戦略」だと考えています。
高校生活における「自助」とは、「指示を待つのではなく、自ら行動し学びを掴みに行くこと」です。本校の自主・自律の校風は、受け身の人には単なる「放置」に感じられるかもしれません。「自分がやるべきことは何か」「弱点をどう克服するか」、自分自身と対話し一歩を踏み出す力こそが、すべての学びの土台となります。まずは自らの知的好奇心を信じ、自ら動く姿勢を整えてください。
本校には多様な背景を持った面白い仲間が集まっています。一人でできる「自助」には限界があります。行き詰まったとき、隣の人の異なる視点や先輩・卒業生の発想が大きな突破口になります。こうした「知の交換」こそが、本校の重んじる「共助」の形です。
皆さんは「附属高校」という恵まれた環境(公助)の中にいます。しかし、意識してほしいのは「助けられる側」にとどまらないことです。将来、社会の各分野でリーダーとなる皆さんは、「得た知識やスキルをどう社会に還元できるか」という視点を持ってください。それにより、学びの質が「個人の成果」から「社会への貢献」へと高められます。
2026年、世界は複雑さを増し、正解のない問いに満ちています。だからこそ、自分を律し(自助)、仲間と手を取り合い(共助)、社会を見据える(公助)姿勢が求められています。
この「附高」というフィールドを、存分に使い倒してください。失敗しても構いません。転んでも立ち上がれる精神を養う場、手を差し伸べてくれる仲間と温かく見守る教職員がここにいます。
保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。高校生活の3年間は、心身ともに大きく飛躍する時期です。ご家庭におかれましても、温かい眼差しで見守り、信じ、見守っていただければ幸いです。
新入生の皆さんの高校生活が実り多きものとなるよう、心より応援しています。