校長BLOG

第10回校長BLOG

感染症蔓延下での生活について

大野 弘

 生徒の皆さん、保護者の皆さん、今日は。これから、学校が休校している間、週1回程度、校長ブログで私の思いを発信してまいります。よろしくお願いいたします。
さて、緊急事態宣言後、第2週に入りました。生徒の皆さんと皆さんのご家族の方はお元気でしょうか。外出自粛、在宅勤務を強く勧められ、業種によっては休業要請が出る状況下、保護者の皆様には、お困りのことも多々おありかと存じます。1日も早い感染症の終息と日常生活の再開が待たれます。
この事態に、生徒の皆さんも息苦しさを感じていることと思います。しかし、今こそ自分の行動を見直し、感染症が終息するよう各自ができることをなす時です。3密を避けて、外出を自粛し、自宅でできる学習と自宅または自宅付近でできる体力確保のトレーニングをしていてください。
課題については、少しずつICT、インターネット活用での学習が入ってきます。先生方は、少しでも皆さんの自宅での学習が充実したものになるよう必死に工夫しています。
さらに、長引く休業で心の悩みを抱えている生徒の皆さんのために、メンタル相談も行います。担任の先生か保健室に連絡してみてください。原則として在宅勤務の状況なので、返信は通常より若干遅れますが必ず返します。必要に応じてスクールカウンセラーの先生にも繋げます。これは、保護者の方も同様です。

今後の感染症をめぐる展開について考えてみました。山場は来週の23日頃になると思います。緊急事態宣言で在宅勤務が本格的に始まったのが10日頃で、その時までに感染していた場合の発症が23日頃であり、23日過ぎに新たに感染した場合の発症が学校休業明けである5月7日前後だからです。

以下の3つのケースが考えられます。
①幸いにも、4月10日の感染者数に比べ新たな感染者数が減少している場合。この時は厳格な対応無しでも終息に向かっていることが予想され、予定通り5月7日からの学校再開が可能となる。
②4月10日の感染者数に比べ、新たな感染者数がほぼ同数の場合。一般的には、その後厳格な措置を取っているので減少する可能性もあるが、何とも言えない。休業期間は多少延長される可能性もある。
③ヨーロッパやニューヨーク州のように感染爆発が起こっている場合。学校関係者にも感染者が複数出ている可能性もある。相当長期にわたる休業期間となる。

皆さんには、それぞれのケースでの今後の対応について決定したら迅速に連絡します。どのような事態になっても落ち着いて適切な行動をお願いいたします。
東京学芸大学のホームページに、國分充新学長の新入生への挨拶が載っていました(https://www.u-gakugei.ac.jp/pickup-news/2020/04/post-637.html)。1900年代半ばのフランスの作家アルベール・カミュの「ペスト」という小説を例に、危機の時代の生き方について紹介した感動的な文章です。是非、学芸大学のホームページで読んでみてください。
先に皆さんに1700年代のイギリスの作家ダニエル・デュフォーの「ペストの時代」を紹介しましたが、カミュの方が文学としては完成度は高いし感動もあります。私も、高校時代に初めて読み、今に至るまで数度読み返し、その度に勇気を得ています。学長が取り上げた主人公たち、医師のリウーと旅人タルーの英雄的な姿も素晴らしいが、私自身は日給62フラン30のオラン市臨時補助吏員グランに魅かれます。実生活では奥さんに逃げられた、小説を書くことを夢見ている冴えない初老の男です。彼はリウーとタルーのペストに対抗する保健隊の書記となって働いた。そのことに関してリウーが熱意を込めて礼を言うと、「こんなことは一番大変な仕事ってわけじゃありませんからね。現にペストっていうものがあるんですから、とにかく防がなきゃなりません、これはわかりきったことです。まったく、なんでもこれくらい簡単だといいんですがね」と答える。どうです、何ともかっこいいですね。危機の時には、自分のなすべきこと、自分のできることを淡々となすことが求められる。新潮文庫で読めます。

では、また来週このブログでお目にかかりましょう。お元気でお過ごしください。